「ラ・ラ・ランド」鑑賞。クラシカルでモダンなミュージカル映画。

こんにちは、大作映画が大好きなゆーせーです。

遅ればせながらようやく「ラ・ラ・ランド」鑑賞してきました。今年度アカデミー賞で史上最多14ノミネート(13部門)され、監督賞、主演女優賞など6部門を受賞した大ヒットミュージカル映画ですね。

また、第89回アカデミー賞において作品賞受賞の際に「ムーンライト」が受賞作であるにも関わらず誤って「ラ・ラ・ランド」が受賞作品であると発表されるミスが発生したことでも記憶に新しいと思います。(「ラ・ラ・ランド」まったく悪くないけど。。。)

とはいえ、日本でも大ヒット中です。周りもラストに賛否両論ということでミュージカル映画不得意な僕も重い腰を上げてみてきました笑

ミュージカル映画ってどうして突然歌いだすんだこいつらは?っていうツッコミを入れたくなるのでどうしても感情移入しにくい映画のジャンルなんですよね〜。

とはいえ、「ラ・ラ・ランド」は往年のクラシカルなミュージカル映画に近いタイプの映画だったのでかなり見やすかったです。

そしてかなり素晴らしい作品でした。ラストまで含めて笑いあり、感動あり、クラシカルなハリウッド映画が好きな観客層にはドンピシャだと思います。

今回もネタバレ満載ですが、「ラ・ラ・ランド」の感想を書いていきます。


オープニングから引き込まれる

この映画の魔法はオープニングから始まっています。

オープニングのロサンゼルスの大渋滞のシーンから始まるオープニング・ナンバー “Another Day of Sun” がとにかく圧倒的です。

みんなが渋滞している車から飛び出して車に飛び乗ってミュージカルナンバーを歌いだします。

さすがはロサンゼルスの高速道路を貸し切って撮影しただけすごい!しょっぱなから引き込まれました。

しかも「ラ・ラ・ランド」のミュージカルナンバーはどれも書き下ろし。

オープニングのミュジカルナンバーだけでなく全編にわたって音楽がロマンチックで素敵です。

絶対、映画を見た後にサントラを聴きたくなること間違いなしです。


劇場で観るべき映画

ミュージカル映画ということもあり劇場で観ることを激しくお勧めします。

ミュージカル映画は他のジャンルの映画に比べて音響設備の優劣に左右されやすいです。また、音量や画面サイズが大きくないと物語に感情移入しにくいです。

そういった意味であまり家庭での鑑賞に適さないです。

また、映画館というくらい劇場内で作品が流されることでより没入感がアップします。

さらにこの作品はワイドスクリーンのシネマスコープサイズです。一般的なテレビのディスプレイよりも横長なので、上下に黒帯が入って画面が小さくなるかもしくはトリミングされて両端が切られるはずです。

よって自宅のテレビで劇場の完全再現は不可能なので、劇場で観ることをお勧めします。

キャストの演技力が光る

「ラ・ラ・ランド」は脚本もミュジカルナンバーも素晴らしいですが極め付けはキャストの演技力だと思います。

主演のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが圧巻です。ライアン・ゴズリングは3ヶ月の猛特訓の末にピアノシーンは自分で演奏しているそうです。

そしてどちらもミュージカルシーンはちゃんと歌って踊っています。

また、ライアン・ゴズリングはクラシカルなスーツがとても良く似合い本物のジャズピアニスト(またはそれ以上)に見えますし、エマ・ストーンも売れない役者の卵を熱演しています。

何より主演二人の組み合わせがすごく素敵です。映画の雰囲気に相まって非常にクラシカルでシンプルな衣装に負けていません。

正直、かつてのアメイジング・スパイダーマン2の思い出がよぎり、あまりエマ・ストーン好きじゃなかったのですが一気に変わりました(笑)

アメイジングな内容にびっくり!アメイジングスパイダーマン2の感想。

夢は叶うのにシックな終わり

「ラ・ラ・ランド」は賛否が分かれます。理由は言わずもがなでラストがハッピーエンドでないからでしょう。

エマ・ストーン演じるミアは大女優になり、ライアン・ゴズリング演じるセブも夢を叶えて、古き良きジャズを愛でる自分の店を開いた。お互いに夢を叶えたのにラストは全然幸せそうじゃありません。

お互いに愛し合っていたはずなのに互いの夢のために離れ離れになり、ミアは他の男性と結婚してしまいました。

最後にミアは偶然セブの開いたバーに夫と一緒に立ち寄り、セブは客にミアがいると気付いて、ミアが最初に惚れ込んだ曲 (“Mia & Sebastian’s Theme“) を弾き始めます。

曲の始まりと共に、セブとミアが結ばれていた場合の5年間が、映画を振り返る走馬燈のように描かれる。。。

最後のもしもセブとミアが結ばれていたら。。。という部分に自身の過去の人生を重ね合わせてしまいます。

あの時、別れた恋人ともし些細な行き違いがなければ。。。もしかしたら別の人生があったんじゃないか?

そんな誰しも一度は妄想することが映像化されているからこそ、この映画には賛否両論があるのですね。

とはいえ、僕自身はそんなに嫌いなラストじゃないです。

というのも「ラ・ラ・ランド」にはいろんなクラシック映画のエッセンスが取り込まれていて、「カサブランカ」や「シェルブールの雨傘」に近いラストに持ってきたように感じたからです。

カサブランカは君の瞳に乾杯のセリフで有名な映画ですね。

カサブランカのラストはアメリカ人男性のリック(ハンフリー・ボガート)が、パリが陥落する前に理由を告げずに去ったかつての恋人イルザ・ラント(イングリッド・バーグマン)を大義のため彼女の夫とともに亡命させ逃がします。

シェルブールの雨傘はフランス映画で全編音楽のみで地の台詞が一切ない完全なミュージカルという画期的な作品です。

シェルブールの雨傘のラストは結婚を誓い合った恋人同士であった自動車整備工ギィ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)とジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が時代の波に翻弄され、お互いに別々の人と結婚して終わります。

そんなクラシック映画のエッセンスと人生そんなに何もかもうまくいくわけじゃないという現実のほろ苦さをからめて、監督は「ラ・ラ・ランド」を描ききったように思えます。

しかしこれほどまでにロサンゼルス・ハリウッドという街をロマンチックに魅せた映画は今までなかったのではないでしょうか?

非現実的な夢が叶う街、ハリウッドをこんなにもファンタジックに、ロマンチックに描いた作品はそうそうないと思います。

いくらアカデミー賞で6部門受賞したからといっても、そろそろ劇場公開も終わると思いますので、興味ある方はお早めに劇場へ!