こんにちは、ゆーせーです。
山と読書。この組み合わせは山と写真とか山とコーヒーと同じくらい中毒性のある組み合わせですよね。
そして今やキンドルやiPadなどのタブレット端末で山で本も簡単に読める時代です。
先人は文庫本なりなんなりをただでさえ重いザックにしまって山を登っていたと思うと頭が下がります。
というわけで、今回は山で読みたくなる、あるいは山に行きたくなるような山に関する本のまとめです!
小説、ドキュメンタリー、漫画などなど集めてみました!
凍
日本を代表する登山家、山野井泰史さんを紀行作家の沢木耕太郎さんが取材して、山野井泰史さんが両手の薬指と小指、右足の全ての指を切断する重傷を負いながらもヒマラヤのギャチュン・カン北壁登頂を生々しく書き上げたノンフィクションです。
ちなみに奥さんの山野井妙子も著名な登山家で、ギャチュン・カン北壁に夫婦で挑んでいます。(奥さんも凍傷で指をなくしています)
沢木耕太郎さんの著作はバックパッカーのバイブルとして名高い深夜特急なども有名ですね。
深夜特急はブログの旅に関する本でもまとめています。
【特集】旅先で読みたくなる!旅に持って行くのにおすすめな旅本10選!!日本屈指のクライマーとして名高い山野井泰史さんのトップレベルの登山を小説の文章表現のみで描き切ります。そのクライミングの凄惨たるや、凄惨たるや。。。
一流クライマーの気迫と無情にも体力を奪っていくギャチュンカン。恐ろしい山です。
山で読むにはちょっと刺激が強すぎますが、読んでおいて損なしの一冊です。
空へ
空へは1996年に起こったエベレスト大量遭難を描いた実話を元にドキュメンタリーにおこした作品です。
著者はジョンクラカワー。自分が大好きな映画イントゥザワイルドの原作者であります。
もちろんイントゥザワイルドの原作である荒野へも大好きです。
映画「イントゥ・ザ・ワイルド」の原作!ジョン・クラカワーの「荒野へ」を読んで考えたこと。この作品のものすごいのは実際のエベレスト大量遭難に著者のジョン・クラカワー自身も巻き込まれていることです。つまり本作品は山岳ノンフィクションです。
したがってリアリティが半端ない!
本著は商業登山(公募登山)でエベレストに登るツアー客が天候が崩れたエベレストを前に次々と遭難し、凍死していきます。
エベレスト登頂前のあたりは比較的和やかに進んでいきますが(もちろん登山ツアーなりのメンバー同士のちょっとしたわだかまりはある)、登頂前後から始まるエベレストの悪天から一気にジェットコースターのように話は進んでいきます。
目の前も見えない完全なホワイトアウト、ツルツルに凍った地面、そして容赦なく牙を剥くエベレストにツアー客だけでなくこのツアーを企画したガイドやシェルパすら倒れていきます。
あいついで6人が死んでいくさまは圧巻!
このエベレスト大量遭難事故は非常に有名なので何度も映画化されています。空へと含めて別記事でも特集しています。
ジョン・クラカワーの「空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」と映画「エベレスト3D」。ただただ最後まで辛く厳しい登山記ですが、山の怖さを味わうならこれです。
長谷川恒男 虚空の登攀者
長谷川恒男さんは世界で初めてヨーロッパアルプス三大北壁(アイガー,グランドジョラス,マッターホルン)冬期単独登攀を達成した偉大な方です。
長谷川さんが達成した偉業をもって、ヨーロッパアルプスの登山史は幕を閉じて、世界のクライマーはヒマラヤに向かうことになりました。
そんな長谷川さんは最後はパキスタンのウルタルII峰で雪崩に巻き込まれて亡くなるわけですが、そんな長谷川恒男さんの半生をノンフィクション作家の佐瀬稔さんが書き上げたのが本著です。
山にかける狂気にも近い想い、熱意、名声への渇望などなど狂おしいほどに山にのめり込んだ男の半生が描かれています。
また後述する登山家、森田勝さんとのヨーロッパ三大北壁冬季単独登頂をめぐる争いなどいろんなドラマがあります。
長谷川さんが亡くなったパキスタンのウルタルII峰の麓にあるフンザには長谷川恒男さんの夫人の昌美さんが作った長谷川メモリアルスクールもあって、実際に訪れると校内見学や日本語の歌を歌ってくれたりなどいろいろともてなしてくださり大変オススメです!
フンザの長谷川メモリアルスクールへ。狼は帰らず―アルピニスト・森田勝の生と死
長谷川恒男さんのノンフィクション小説の前にノンフィクション作家の佐瀬稔さんが描き上げた作品が同著です。
森田勝さんは長谷川恒男さん以上に狂気のクライマーで、国内で何百人もの死者をだした世界一死者数の多い谷川岳でもっとも過酷と言われた谷川岳滝沢第三スラブ(三スラ)を初めて克服したのが森田さんです。
しかし、晩年は不遇であり様々な逸話の持ち主でもあります。
長谷川恒男さんがヨーロッパ三大北壁冬季単独登頂にチャレンジするなかで無理やり同じグランド・ジョラス北壁に登って滑落したり(しかも奇跡的に生還したことも伝説になる)、日本山岳協会によるK2登山隊における造反など逸話に事欠きません。
最後は奇跡的に生還したグランド・ジョラスに再度チャレンジして亡くなりました。
その伝説的な偉業や逸話から小説や漫画、映画の題材にされることも多く、岡田准一主演で映画化もされたエベレスト神々の山嶺の阿部寛さんの役柄(羽生丈二役)の元ネタは森田勝です。
とにかく狂気の人、森田勝!
垂直の記憶
1990年代から2000年代前半を代表する日本のクライマーは山野井泰史さんでしょう。
ノンフィクション作家の沢木耕太郎さんが描いた「凍」はあくまで沢木耕太郎の視点からの山野井泰史の登山な訳ですが、こちらの本は山野井泰史自身が書いた自伝。
凍で描かれたギャチュン・カン北壁だけでなく、それまで山野井泰史さんが登ってきた登山記も載っています。
凍ほどは重苦しい内容ではないので読みやすいです(とはいえ、やっぱり重い)
青春を山に賭けて
日本を代表する冒険家、植村直己さんが大学時代の山岳部から人類初の七大陸最高峰到達者になるまでの自伝になります。
時代的に古いこともあってか植村直己さんの根性論も相当入っているのですが、植村さんはとにかくすごくて物理的にも精神的にもどんどん障壁を壊していって、自分のやりたい冒険を次々に達成していきます。
その熱量がとにかくすごい!
この自伝のあとも植村直己さんは犬ゾリ単独行で北極点到達とかマッキンリー冬期単独登頂など次々と偉業を達成していきますが、厳冬期のマッキンリー(デナリ)で遭難死してしまいます。
ただ、きっと植村直己さんは人生を通して自分の生き方を曲げなかったんだなと、伝わってきます。
岳
岳は今や登山漫画の代表格ですね。
日本アルプス登ってると岳の主人公の島崎三歩の看板や、山小屋には決まって岳が置いてあるので、漫画を知らなくてもキャラクターを知ってるなんて方は多そうです。
内容は世界中の山を登り歩いた主人公の島崎三歩が北アルプスで山岳救助ボランティアとして活躍する話です。
一冊で何人もの遭難者がでる漫画ですが、不思議とほんわかする内容になっているのは島崎三歩が常に笑顔で遭難者に接するからでしょうか。
この男とならどんな山に登っても安心!そう思わせてくれるのが島崎三歩の人柄です。
最終話の終わり方には賛否両論ある本作ですが、自分は山に登るたびにこの漫画を読みたくなります。
山に登らない方も、これから山に登ろうと考えてる方にも最初に勧めたい本です。
きっと山でコーヒーを飲みたくなりますよ。(豆から挽いて)
神々の山嶺
小説が原作で、映画化もされた「エヴェレスト 神々の山嶺」の漫画版ですね。
主人公の羽生丈二のキャラクターの元は前述で紹介している「狼は帰らず―アルピニスト・森田勝の生と死」の森田勝です。
山というのはどうしてこうも人間を狂わせるのでしょうか?
羽生丈二も、同様に主人公のカメラマン、深町誠もどんどんとエベレストにのめり込んでいきます。
羽生丈二はうまく森田勝のエッセンスが取り込まれていて、グランドジョラス冬季単独登攀での決死の生還劇などうまく盛り込まれています。ザイルパートナーのザイルを切断はやり過ぎですが(笑)
そこまできつい描写は少ないので読みやすい漫画に仕上がっています。
孤高の人
はい、小説「孤高の人」を原案とした漫画版です。
ただし、原案なので小説の孤高の人とは内容が異なります。(実は自分は小説版を読んでないのでなんとも言えないですが。。。)
内容は高校編とクライマー編でざっくりと分けられますが、もう主人公の森文太郎以外のサブキャラの扱いが適当過ぎます(笑)
様々な場面で伏線を張るのですがまったく回収しません!そしてぶん投げる、さらにサブキャラが基本クソ過ぎる(笑)
極め付けに主人公がとんでもなくぼっちで一体なんなの!?ってなるのですが、絵が綺麗でクライミングに対する並々ならない想いがページから伝わってくるのでまあ良しとしましょう。
14マウンテン山岳会とは一体何だったのか。。。
山と食欲と私
最近読んで面白かった山に関する漫画がこの本です!
山と食欲と私!
主人公の日比野鮎美が週末に山に登っては食べる山ご飯が本当に美味しそうで、それだけで山に行きたくなります。
特に何も起こらないほのぼの系の漫画で、系統としては「よつばと」なんかに近いですね。
ちなみに山と食欲と私はウェブ連載なので、バックナンバーがいくつかネットで読むことができます。要チェックや!
これを読むと絶対に山ご飯に凝りたくなるはず!
まとめ
以上!山で読みたくなる、山に行きたくなる本のまとめでした。
前半は結構ヘビーな書籍が多かったと思いますが、後半に連れてライトな作品が多い構成となっています。笑
山で読む本は別に山に関する本でなくて良いし、エッセイ、詩集、哲学書など人それぞれでしょう。
ここでは自分が山に行きたくなるテンションが上がる本を集めてみました!
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