ジョン・クラカワーの「空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」と映画「エベレスト3D」。

こんにちは、ゆーせーです。

今回は小説の紹介です。その名も「空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」。

「空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」は著者のジョン・クラカワーがアウトドア雑誌のジャーナリストとして実際に巻き込まれた1996年のエベレスト大量遭難事故を題材にしたノンフィクション作品です。

また、このエベレスト大量遭難事故は何度か映画化されており、その中の作品の一つが「エベレスト3D」です。

この大量遭難の犠牲者には日本人女性で二人目のエベレスト登頂者でありセブンサミッター(七大陸最高峰到達者)でもある難波康子さんも含まれているので日本でも大々的に報道されたようです。(残念ながら自分の記憶には残っていません)

この大量遭難ですが、いくつかの商業公募隊と台湾隊が起こした遭難事故であり、世界一標高が高い山で起こった悲劇的な事故です。

ジョン・クラカワーの「空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」にはその記録が克明に描かれており、読んでいるだけでも手に汗を握りますし、エベレスト3Dはその作品内容を忠実に再現しています。

「空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」を読むに至った経緯

空へ ジョン・クラカワー

そもそ「空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」を読むに至った経緯。

それは著者のジョン・クラカワーが書いた他の作品である「荒野へ」とその映画作品であるショーン・ペンの「イントゥ・ザ・ワイルド」がすごく好きな作品であることがあります。

「荒野へ」も「イントゥ・ザ・ワイルド」も海外バックパッカーやってる自分にしてみたらドストライクな作品でした!人生で見た映画や小説の中でも間違いなくベスト10に入ってくる作品です。

以前に考察も書いてますのでよければどうぞ。

映画「イントゥ・ザ・ワイルド」の原作!ジョン・クラカワーの「荒野へ」を読んで考えたこと。

そんな「荒野へ」を書いた著者のジョン・クラカワーがエベレスト大量遭難に巻き込まれ、「空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」として作品に残した事は知っていたのですがなかなか読むチャンスがなく今まで時を経てきました。

しかしそこへ「エベレスト3D」です。

自分は映画好きでもあるので1996年のエベレスト大量遭難を題材にした映画が公開される事は約一年前くらいにキャッチ。

というわけで映画を見る前に予習を兼ねて映画公開の3ヶ月前くらいに読了しました。

ちなみにこの作品を山で読んでいたからか、自分自身も八ヶ岳で遭難し一泊ビバークするはめに。。。

そのあたりの話は下記の記事に書いていますが、今思い出してもゾッとする体験です。

歩いても歩いても道がわからず、そのうちに食料も飲み物も尽きました。テントと寝袋があって本当に助かりました。

八ヶ岳の赤岳に登頂!しかし阿弥陀岳にて遭難する。

ちなみにその他で山岳モノで面白かった作品は「深夜特急」で有名な沢木耕太郎が日本が誇るアルパインスタイルの世界的クライマーである山野井夫妻のギャチュンカン登頂を描いた「凍」と漫画の「岳」があります。

どちらもおすすめな作品!

あと、最近では「山と食欲と私」もよく読んでいます。

壮絶な遭難事故

エベレスト登頂ルート

さてそんな「空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」なんですが内容はもう壮絶といったらありゃしない。

さすがに現役のジャーナリストが遭難に巻き込まれただけあって、状況描写もなるべく正確に描かれているし読んでいて引き込まれます。

「エベレスト3D」のネタバレにもなるのであまり書きはしないですが、一人一人道半ばで死んでいく描写が妙に生々しく、自分が山に登る気持ちが萎えます。

読後感としてはなんとも言えない無念な気持ちと起こるべくして起こった事故だったのだなという印象。

高所への登山経験が少ない参加者たち、噛み合ない言語、登頂リミットを守らない登山者などなどいろんな要因が重なり合い起こった悲劇的な事故ですが、たとえこのタイミングで仮に起こらなかったとしてもいずれは起こった事故でしょう。

とは言え、参加者には登頂にかけるクレイジーな想いがそれぞれあります。そこには世界一の山に登りたいという狂気じみたロマンも感じるのです。

そしてそれが悲劇的な事故と合わせて何度も映像化、言語化されている要因ではないでしょうか。

エベレスト3D 登頂

山が好き、映画が好きなら見ておいて損のない作品です!